以前から話を聞いて気になる3Dプリンターがあったので、7/24に初めてワンフェスに行ってきました。
これが例の3Dプリンター・・・。クホリアと読むみたい。
一番目立つ独自技術は「斜回転式エクストルーダー 」。普通エクストルーダーとホットエンドが分離しているタイプのものは、動作部分が軽くなるというメリットがありますが、チューブの中でフィラメントがたわむために微細なコントロールができないというデメリットがあります。
それをエクストルーダー自体が自由回転することでチューブを最小限の長さに抑えてフィラメントの送出誤差をなるべく小さくし、XY軸の動作に無理なく追従できる構造になっています。
Z軸は四隅にリニアベアリングを使用し、上から両側2本のM5の切削ネジで吊る構造で、XY軸はMakerBotのReplicatorと同じのよくあるタイプです。
モーターはZ軸とY軸が2個ずつ使われていて、シャフト同士をベルトで連結せずにモーターから直接駆動させることでバックラッシュを減らしているようです。
出力されたものを見ると非常に正確です。Z軸を移動する際にできる縦の筋が見られるものもありましたが、積層の乱れは分かりませんでした。
縦に長い形状もきちんと出力されていて、エアフローもしっかりと考えられていると思います。
フィラメントはアマゾンなどで買える1キロ2000円程度の安いPLAだそうです。ホントかな?
材料はABSとPLA両方使えると言っていました。
写真にあるトリケラトプスが確か0.025mmピッチで10数時間程度という話でした。
もちろんZ軸のピッチが細かくなるほど時間がかかるので、その分移動速度は速めにしているそうです。
ノズルが0.2mmとか0.3mmなのでどうしても水平な細かい造形は潰れますね。そこはFDMの原理的に光造形に敵わないところです。
開発者の方(社長)がいらしたので気になることを直接聞いてきました。
- 制御ボードはSmoothieboard。選んだ理由は精度的な問題ではなく、ファームウェアを書き換えずにテキストファイルで設定を変えられるため。トラブルがあった場合、簡単に設定を変えられる。モータードライバが1回路余っているので、ドライバがどれか一つ壊れた場合ならば差し替えて設定を変えれば継続使用可能。データを移してPC無しで単独動作する。
- 途中で電源が切れても再開できるレジューム機能がある。
- ホットエンドはE3Dを独自にチューニングしたもの。オリジナルよりも詰まりづらくなっている。
- ホットエンドはシャフトホルダーで固定され、ネジ一本で取り外しできる。ベッドとの距離調節は、ネジを緩めてホットエンドをベッドに落としネジを締めるだけ。CNCフライスのエンドミルを固定する要領。
- 本体の重さは5kg~10kgの間くらい。
- 予価は税抜きで31万?千円(忘れた)送料無料 35万は超えないように設定する
- ベッドはアルミ板にポリカーボネート製のシートを貼ったもの。シートはガラスに貼る防犯用のものを流用。
- 9ヶ月休み無しで通常業務と平行して一人で開発。会社として利益は出る価格
- 独自開発したエクストルーダーの回転部。最初は2軸で回転するようにしたが、その後1軸で斜めに回転するようにした。
- 筐体を板金で軽く作り、Z軸とY軸リニアシャフトを構造体として使うことで全体で強度を確保。
基板の設定を簡単に変えられたり、何かあっても利用者が直せるように構造や調整方法を簡単にしている工夫が随所に見られます。
XYZ軸の配置などは他の3Dプリンターでよく見られるオーソドックスな構造ですが、考えられることをすべてやって筐体構造・ホットエンド・エクストルーダーなどのあらゆる造形不良の原因を一つずつ地道に排除し、最適化した結果がこの乱れの無い正確な積層に繋がっているのだと感じました。